なぜ、心理学なのか!

      2019/04/21

 「なぜ、先生のところでコミュニケーションを学ぶ人が増えているのか」と取材を受けました。



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 職場にしても、婚活にしても、自分をアピールできないと、チャンスを失います。それは「私のことを時間をかけて知ってください」と言えるほど、今の社会は優しく待ってくれる時代ではないからです。

 子どもの時から知ってくれている人が周囲に居て、固定化された昔ならば冠婚葬祭という最低限度のセレモニーさえ、顔を出していれば、無口で、消極的であっても「あの子は心の優しい子だよ」と周囲は理解してくれました。なぜなら、子どもの時から周囲が知っているからです。

 でも引っ越しや、転職を繰り返す流動的な現代社会では、自分のことをシッカリ伝えなければ誤解されたり、地域から無視されることもあります。

 現代は豊かな社会です。何でも必要な情報や買い物はネットで調べられるのです。

 言い方を変えるならば、人に頭を下げて教えてもらわなくてもいいのです。人に頼らなくても、欲しいものが手に入る社会です。



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 しかし、どんな時代になっても、本当に大切な情報や必要なチャンスを手に入れて、自分の輝かしい人生を過ごすためには、聴く技術や伝える技術が大切になります。

 相手に自分の思いをシッカリ伝えられなくて大切な人と別れた人もいます。

 自分のアイディアを理解されなくて新商品会議で取り上げられなかった人もいます。

 自分の思いを伝えられなくて、望まない、お見合いを親に押し付けられる場合もあります。

 これらは伝える能力がないからです。

 さらに、聴く能力がなくて恋人が落ち込んでいる時に、悩みを聴いてあげられなくて嫌われた人もいます。

 上司に叱責される時に、言い訳ばかりして、よけいに上司を怒らせることもあります。

 友達の話を全部聴かないで、自分の話ばかりを話し始めて「貴方は自分勝手よね」と嫌われることもあります。

 これは、聴く能力がない証拠です。

 聴くテクニックのコツは、相手の話を時折、自分自身が誤解して聴いていないかどうかを確認することです。

 恋人が「俺は職場のためにと思って行動したのに、あのバカ上司がわからなくて••••」と言うと、マイナスな言葉を強調しないで「自分の努力を誤解されて、ツラいのね」と聴いて上げると彼は心がとても落ちついてきます。すると彼は冷静になれるのです。

 この時に彼女が「そうよ上司がバカなのよ!」と同調すると、相手はよけいに怒りはじめて、最悪は「そうだ、あんな会社やめてやる‼」となります。

 また、恋人の弱音を聴きたくないからと「それは、あなたのやり方が悪かったじゃない」と言うと今度は彼とのバトルが始まります。

 ですから、優しく相手が冷静になるように「相手の気持ちをくり返す」のがコツです。

 会社で上司に注意を受けている時に、自分の言い訳ばかりする人がいます。これでは、よけいに上司に叱られます。上司は注意したいという願望があるのです。

 ならば、それを吐き出させるためにも「この資料には、具体的なデーターが必要なのですね。ご指導ありがとうございました」

 相手の注意をしたいという気持ちを満足しておいて、「相手もいい過ぎたかなぁ」と思える時間を与えてから「データーを集めるために努力していますが、他の部署のデーター提出を待ったほうがいいでしょうか」と、こちらから聴いて行くと、相手は冷静になっているので「そこまではいいよ」なのか「待ってから、提出をしてくれ」になるのです。

 ですから、相手の話を最後まで聴かないで焦って、自分の思いや言い訳をすると失敗します。

 そして、相手への伝え方のコツは、相手を責めないことです。

 人はすぐに相手が「間違っている」と言いますが、相手と私との「間」には考えの違いがあるだけなので、相手は間違いではないのです。

 お母さんが「あなたも早く、いい相手を見つけて結婚しないと••••」と言われたら「ほっといてよ!」と感情的に対応しないで「そうね、お母さんは心配してくれているのよね」と、まずは聴いてから、自分の思いを伝える「お母さん、私もそれは大切なことだと思っているのよ。だからこそ慎重になるのよ。お母さんの娘なんだから私を信じていて」

 もしくは無口な恋人に「貴方は本当に必要なことを話さないし、いつも、タメ息ばかりつかないで」と責めないで「あなたがタメ息をついてツラそうだと、あなたの力になれないのかなぁと思って自分が情けなくなるのね。何かツラいことがあれば私に話してね。いつでも待っているから••••」と思いを伝えるのです。タイミングが合えば話してきます。

 「部長は現場がどんな状態かが分かっていますか?!シッカリと報告を聞いてください!」と口をとがらせるより「部長に話を最後まで聞いてもらえないのは、自分の説明がダメなんでしょうね。もう少し努力をしてみます。お時間をいただき、ありがとうございました!」このような言い方なら、部長は「真剣に聞けていなかったなぁ」と反省する可能性があります。もちろん、可能性です。でも、あきらめるより可能性の高い努力をすることが、自分を成長させます。

 さて、共通して言える伝える力のコツは相手を責めないこと、そして、まず相手の気持ちを聴くこと、さらに自分の気持ちを正直に伝えることです。

 でも、正直に伝えるには「自分が何をイラだっているのか?」「どうして、もらいたい」のか自分自身を知る必要があります。

 僕は心理学の教室で教えています。「怒り・攻撃」は第2感情だと。相手に「こうあって欲しい」という期待が第1感情です。そして、こうあって欲しいという期待どおりにならない相手に対して「ガッカリ・落胆」が起こります。そして、「怒り」の第2感情がわいてきて、相手を間違っていると攻撃するのです。

 何よりもコミュニケーションにとって大切なことは、自分が恋人にどうして欲しかったのか、親のどの態度が悲しかったのか、上司にどんな期待を持っているのかという、自分の心の奥を知る必要があります。

 聴く力も、伝える力も、自分を知らないと、ただのテクニックで終わります。

 あなたは自分を知っていますか?

 ですから、コミュニケーションを学ぶことは自分を知ることにつながるのです。





日本メンタルヘルス協会:衛藤信之のつぶやき




















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