今、大切なことはこと••••

      2019/04/21

 前回のブログでたくさんの人々からメールで「共感です」「粛々、なるほどと思いました」「目の前のこと、笑顔ですごします」「冷静さを取り戻します」とたくさんのメッセージをいただいたようです。

 阪神淡路大震災の時、日本メンタルヘルス協会は、電話の回線を増やして多くのカウンセラーの先生たちに協力を依頼して被災者の無料カウンセリングを実施しました。その活動は当時テレビでも報道されました。

 僕も被災地の避難所にカウンセラーとして赴きました。

 実際には心理カウンセラーが必要になるのは今ではありません。

 今は電話連絡も被災者はままならない状態です。誰かが心配と不安から、友人に安否の連絡を10人すれば、残り少ない携帯の電池をすぐに消費します。家族は別としてですが••••

 そして、PTSDも後に出てくる問題です。

 被災地の人々は、今は生活が激変してアドレナリンが出ている状態です。心理的には緊張しています。

 みなさんも経験したことがあるかもしれませんが、家族が亡くなって一番、孤独に襲われるのはお葬式が終わり、すべての日常に戻った平時に、人は自分の変化に気づきます。
 その瞬間に、人は「何かが足らない」という想いに襲われます。それが心的喪失感です。その時こそ心の援助が必要となります。

 そして、社会が地震のことを忘れかけた頃に被災者は「自分だけがいまだに引きずっている」と孤独にさいなまれます。
 その頃にはテレビなどの報道も少なくなります。テレビで興奮した被災者への同情も、ボランティア精神も、多くの人々が薄れてゆきます。それを心理的には「一過性の被災者共感」と言います。

 阪神淡路大震災の時に、人々の心が移ろいやすいのだと、僕は肌身に感じました。そう「熱くなる人ほど冷めやすかった」のです。

 それに何より現地でオペレーションがシッカリしていない時にボランティアの人々が一挙に現地に入ると、現場はさらに混乱します。

 専門のレスキュー隊も各国から入っていますが彼らはエキスパートなのです。

 彼らは自己完結できる集団です。泊まるところ、飲食、排せつの処理まで彼らは避難所に頼りません。

 阪神淡路大震災の時に、にわかボランティアが現地に入って「僕たちは何を食べたらいいですか?」中には「お風呂は入れますか?」と???
 「君たち何をしに来たの⁈」と言いたくなるメンバーが大勢いました。

 ですから、心理を勉強する人は、落ち着いた態度がとても大切になります。

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 人々の興奮が冷めた時に、一番に我々、心理カウンセラーが必要とされるのです。その時に自分の援助精神が本物であったのか、一過性だったのかが問われます。

 落ち着いた態度の維持を、メンタルを勉強する人には心より期待します。







日本メンタルヘルス協会:衛藤信之のつぶやき






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