成功の奴隷ではない

      2019/04/21

 さて、僕も2017年の仕事が始まりました。
 そして、暖かだった天候も冬らしく寒さが戻ってまいりました。
 企業講演からスタートし、名古屋のメンタルヘルス体験講座と、東京の昼の体験講座と、目まぐるしくそのまま夜の講座、そして、土曜日は東京の2回目と忙しいスタートです。

 

 ある体験講座で女性が質問してくれました。
 「自分は小さなことで落ち込んで、前向きになろうとするのだけど、前向きになれない」とのこと…
 その時僕は、前向きになれない時、落ち込む時は、自然は逆らわずで、落ち込めばいいと思いますと答えました。前向きになろうとしても、そのようになれない時に「前向きにならないと良くない💦良くないのに💦」と思うと「理想の自分」と、そうなれない「現実の自分」にギャップが広がってゆき、さらに理想の自分になれない自分を責めて落ち込みます。これが悪循環になる。

 

 だから、眠れない時に、眠ろうとするとよけいにイライラして眠れなくなる。
 大切な人を失った時には、悲しいくらいに泣いて泣き切って、落ち込んだほうが、立ち直りが早く来ます。だから、お葬式の時に気丈に振る舞っている人よりも、大いに泣いている人のほうが、立ち直りがとても早い。

 風邪の時には熱を出して思いっきり汗をかく。これをカタルシス(解除反応・浄化)と呼びます。日本では喪に服す時期、西洋でもモーニング(Go into mourning.)と呼びます。
 昔から人はムリをしないで、泣く時は泣く、落ち込む時は、徹底に落ち込むことが大切だと知っていたのです。
 
 講座後、本のサインの時に別の参加者から「それは、先生が「落ちた後には、必ず登る!」との成功経験があるから言えることですよね。僕も成功体験があるから、それは分かりますけど、成功経験がない彼女にはムリなんじゃないですか?」とスマートな紳士に訊ねられた。
 いやいや、僕は未だに、君ほどに成功体験したかどうかは分からないけど💦
 
 僕は「落ちた後には、必ず人生は登るから!」と、言いたかったんじゃないんです。それなら、成功は善、落ち込みは悪という尺度を、また作ってしまいます。そうすると最終的には「成功が良いこと、成功しないことが不幸だ!」という呪文から永遠に人は抜け出せない。今は「成功を目指すために落ち込め!」ではないのです。
 
 インディアンは雨の日も、晴天の日も、嵐の日も、靄(もや)の日も、人生にはある。そしてそれを楽しむことが「人生を楽しんでいる」と言える人だと僕に教えてくれました。
 
 晴天に恵まれなければ楽しめないでは、人生の一部しか楽しめないのです。
 病から教えられることもあるし、大切な人との別れから学べることもあります。また、貧乏だから得られる友情もあるのです。過去に成功した人が落ちぶれた時に、自殺する人は成功の奴隷だったのかもしれません。

 

 成功しなくても、貧乏でも楽しめる人が、人生サバイバルの達人です。
 
 だから、自己実現理論のアブラハム・マズローは「真の成功者はリッチな料理も楽しめるけど、貧乏な質素な料理にも最高の幸せを感じる人だ」と言っています。
 
 多くの人が前向きの奴隷、成功の奴隷、良いこと続きの人生の奴隷になっています。
 
 ならば、インディアンの言うように雨の日には、読書をしたり、音楽を聴いたり、ボーっと窓に落ちる雨しずくを眺めたりして楽しみましょう。
 
 そう、僕らは前向き、ポジティブ、成功の奴隷ではない!
 
 僕らは人生のフィールドで、すべての時を楽しみましょう!

 

 

 <<奴隷なんて者に>>

 

 前向きの奴隷になるな! 後向きな風向きの時も人にはあるから。

 

 チャレンジする時に、成功の奴隷になるな! 失敗にも豊かなドラマはあるから。

 

 「失敗してもいいなんて、そんな負け犬の遠吠えじゃないですか」と人の意見の奴隷になるな! 貧乏でも陽が昇ることに感動する人のほうが、成功していても空も見られない日々を過ごしている人よりは幸せだから。

 

 これが幸せだなんて人々の常識の奴隷になるな! 幸せなんて人の数だけあって、それぞれに発見するものだから。

 

 人の意見の奴隷になんて…

 

        by 心理カウンセラー 衛藤信之

 
 

 

 

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