「厳しさ」の必要性

   

 現代は「厳しさ」よりも「優しさ」が優先する時代です。SNSでも「面倒な人とは距離を置いて関わらなくてよい」とか「楽しいことだけやりましょう」「無理をしないでゆっくり生きよう」が持てはやされる時代。昔は、これらの言葉はうつ病や精神疾患の人に心理職が声をかけるワードでした。

  

 部下指導も「ハラスメント対策」や「コンプライアンス問題」で厳しい指導が禁止されています。これは感情的に部下を怒鳴る上司を抑えることには役立っています。しかし、一方では別の形で問題が浮上しています。会社を辞める理由がここにきて「この会社では能力が伸びそうにないから」が上位に上っています。

 指導をゆるくすることは、生徒や部下を「お客さま扱い」することになります。今のように退社率が増加すると「辞めさせない」が目的になります。
 ヘソを曲げて、やる気をなくさせるくらいなら「自分がやればいい」と上司も部下に仕事をふらない。その結果ベテラン社員や上層部の仕事は増加しても減ることはありません。

 部下も大切な仕事を任せてもらえないので「ここの会社で自分が目に見えて伸びている実感が味わえない」と退社するジレンマが起こっています。
 イチローさんが「今の時代は生徒たちが可哀想だ」ともらしています。

 自分の才能に気づき、自分で目標に到達するモチベーションを持ち続ける「自己完結型」の学生は、ほんの一握りです。ほとんどの学生は、楽しさとサボりたいという気持ちを優先する時期。それでも昔は、厳しい大人が生徒の甘えを指摘し荒削りの部分を調整し、その結果、気づけばできないことができるようになりスポーツの魅力に魅了される。

 イチローさんは、ほとんどの人は最初はスポーツでも仕事でも面白さがわかるまで引っ張ってくれる人が必要だと言うのです。「自分らしくね」「無理しないで良いからね」「のんびりね」という甘い指導は、本来その人間の隠れたポテンシャルや才能を開花できないまま終わらせる危険性が隠れていると警告しています。

 厳しく指導する人は、仕事やスポーツの面白さがある程度わかるまで一緒に責任を引き受けてくれる存在でもあったのです。逆に生徒や部下を「お客さま扱い」するのは、彼らが失敗しても「自業自得。それは君の自己責任だ」と切り捨てる側にまわる冷たい指導だと心配しています。学校の現場では先生たちは大変です。

 少し注意するとパワハラになってしまう現状です。ですから子どもの未来を真剣に考えて指導する教師にとっては「寛容」と「自主性」だけを強調される現代教育の板挟みとなって「これが本当に子どもたちのためになるのか?」と矛盾を抱えたまま現場で指導に当たっています。
 教職員の精神疾患率は上昇し、退職率も増加していて教職員確保に国や自治体でも頭を痛めています。

 「努力の先にある感動を教えたい」という熱血指導はなりをひそめ、職場でも 「自分はどんどん難しいことを指導してもらって、自分のスキルアップを図りたい」と考えている前向きな社員にとっては、職場も魅力を感じなくなっているという矛盾が現代社会に生じているのです。

 すべてに除草剤を使うやり方は、有用微生物や益虫まで滅ぼしてしまうということを今一度考えたいものですね。


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心理カウンセラー衛藤信之
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