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「あるがまま」を受け止める事

大阪校  平尾 紗耶さん(23歳 女性)


私は、新入社員です。
日本メンタルヘルス協会との出会いも、会社から研修の一環として行かせて頂いたからです。
体験講座当日、ドキドキした思いで教室へ向かいました。そこには、明るく迎えてくれるスタッフや先生方、そして様々な年齢層の方が座っていました。講座が始まると、衛藤先生が出てきました。衛藤先生は、面白可笑しく講座を進行し、「これが、心理学!?」と思う程、大笑いをしたのを覚えています。
しかし、講座も後半に差し掛かると、私は思わず涙が止まらなくなりました。「何で?どうして?こんなに涙が止まらないんだろう。」
そう思いながら、ポロポロと流れる涙を必死にハンカチで拭いていました。
衛藤先生の目力、言葉の力が、私の心の奥の奥の奥底に押し込んでいた気持ちを一瞬にして引き出したのでしょう。
というのも、その時、衛藤先生は家族のお話をしておりました。

実は、私は、2年前に父を亡くしました。

当時の私は、大学に入学をした時から夏休みに海外研修に参加をしてみたいという思いがありました。そして、コツコツとアルバイトをしてお金を貯めました。いざ、親にその思いを打ち明けるのも「ダメと言われたら、どうしよう。」という思いがあり、なかなか言い出せず、勝手に海外研修の申込を済まし、後には戻れない状態となってから打ち明けました。父は複雑な顔をしていました。急すぎて驚いたのでしょう。
そして、家族共働き、私を含め兄弟は生活時間がバラバラで誰とも顔を合わさない事もしょっちゅうでした。そんな中、父は毎年夏には家族旅行を企画してくれていました。成長すると共に兄も姉も参加しなくなり、月日が経ち、そして私まで参加しなくなった事に寂しさを感じたのかもしれません。
しかし、父は留学の事に対して「頑張りや!」と言ってくれました。それ以上は何も言ってはくれませんでした。何か、心に引っ掛かりを感じましたが、父に苦手意識を持っていた私は気には止めませんでした。

2007年8月1日、アメリカへ向かう出発の日がきました。
「じゃ、行ってきます。気をつけや。」
父は仕事なので、そう言って家を出ました。

私は、大学の提出書類に追われており、父の顔も見ずに
「あぁ。いってらっしゃい。」
とパソコンの画面に貼り付いていました。

留学先では、初めての事ばかりで毎日が刺激的でした。
持参した携帯は繋がり、父からメールが入っておりました。
「さや、アメリカでのホームステイはどうですか?それでは、体に気をつけて頑張ってください。着信したら返信下さい。お父さんより。」
父とメールをする事は、右手で数える程しかない私にとって、この短いメールでも、きっと慣れない作業で何十分もかかって作成してくれたのだと思いました。
私は、返信をしました。しかし、届かなかったようで、
「その後、アメリカの生活に慣れましたか?先日メール送ったけど届きましたか。充電切れやったんかな!返信なかったけど!!!
変圧器は使えてるんかな?携帯はどっちのんで受信できてるんですか??
一度試しに電話してみようと思ってます。じゃあ、またね!体に気をつけて頑張ってください。」
と数日後に再度メールが来ました。

今思えば、すごく心配していた事がメールから伝わってきます。
なのに私は、慣れない生活で、返信も遅くなり、電話はかけませんでした。

そして、留学先では言語の壁もあり「家に帰りたい。。。」そう思う事が度々ありました。

ちょうど二週間が経った日、姉から一通のメールが届きました。
「さや、びっくりしてひっくりかえらんといてや、動揺しやんといてや、お父さん亡くなってん。で、さや今留学中やから、お葬式とか出られへんと思うけど、連絡できたら携帯にでも連絡下さい!無理して帰ってこなくていいけど、一人で大変やろから、気をしっかり持つのと、あんたも気をつけるんやで~!」

私は、言葉も出ず、ただ涙がこぼれるだけでした。

「うそやん!うそやん!絶対うそや!!なんでお父さんが?!つい二日前メールくれてたやん!てか、今日から旅行行く予定やったんちゃうの?!何でなん?!」
と少し気持ちが落ち着いた時に思えるようになりました。

そして、私が「帰りたい」と思った事が、こんな風な形として実現するなんて・・・。

「生き別れは、嫌!!でも、このまま家に帰っていいのだろうか?まだまだやりたい事、行きたい所はあるし、お金だって今まで一生懸命に貯めた。それに、何も成果を残せていない気がする。母は、私の事を思ってか、「帰ってこなくていい。」と言っているし、父は何て思うだろう。あんなに行きたかった憧れのアメリカ。そして、目の前の現実・・・。今、帰ったら後悔するのではないか?また、帰らなければ後悔するのではないか?どうしよう。どうしよう。」と一人で悩んでいました。が、結論を出す暇もなく、周りの方々によって日本へ帰る手配が行われていました。

お葬式には間に合い、数日が経ちました。

私は、ポカンと心に穴が開いたような気持ちでした。そして、その気持ちは、どんどんと膨らむばかりでした。
また、泣きたくても一番辛いのは母だと思い、母や皆の前では平気なふりをして、一人部屋でこっそりと泣く日々が続きました。
「本当に帰ってきて良かったのかな。私の夢って何だったのだろう。これからどうしていったらいいのかな。」と思い、同時に不安感にも襲われました。

そんな日々が続く中、アルバイトの休暇期間も終わり、お店へと向かいました。
周りの皆は「どうだった?楽しかった?」と聞いてきました。聞かれる事に対して、覚悟はしていたものの、やっぱり心苦しくなりました。精一杯の笑顔で「楽しかったよ。」と一言告げました。その先は触れて欲しくなく、ごまかしていました。
変な気を使ってほしくなかった為、父の事は黙っていました。

仲の良かった一人の子には打ち明けており、その子が気を使って周りの子に留学中の出来事を伝えてくれていました。その事は、後から知りましたが、周りの子達が気を使っているというのは、ひしひしと感じました。それが、重荷に感じるようになり、アルバイトを辞めてしまいました。そして、心から素直に笑えなくなり、誰もしらない所へ行きたいと思うようになりました。

何をしていても、誰かと一緒に居ても、心は淋しくて淋しくて満たされない想いばかりが積もっていました。そればかりか、

「どうして、出発の日、父の顔を見なかったのだろう。
どうして、“ありがとう”と一言言わなかったのだろう。
どうして、笑顔で“いってらっしゃい”と見送りしなかったのだろう。
どうして、電話をしなかったのだろう。
どうして、すぐにメールの返信をしなかったのだろう。
どうして・・・。どうして・・・。」
と後悔ばかりが、頭の中をグルグルと回っていました。
考えても、考えても解決するはずのない事なのに。


ある日、ふとメールを読み返しました。その中に、
「言葉は身振り手振りで通じる。さやのスマイルがあれば何とかなる。」
そんなメッセージが、目に停まり、篤く心に響きました。
「私、笑ってない。
笑いたい。
前みたいに、皆と一緒に笑いたい!
私から笑顔を取ったら何も残らない。」
そう思うようになりました。また、そう気づかせてくれた言葉でした。
笑おう、笑おうと笑顔を練習しました。

そして、それからは、もう今までの事は考えないようにしよう。きっと時が解決してくれる。と心の奥底に押し込んできました。
時々、張り裂けそうな時もありましたが、グッとグッとグゥーッと押し込んで、平然を装ってきました。

その頃から、自分自身の時は止まり、何をしていても、どこか冷めた冷静な自分がいました。そして、そんな自分をほったらかしにして、大学を卒業し、就職をして今へと歩んできました。ただ目の前の事しか考えない夢なんて持てないままに。

そんな私に、衛藤先生の言葉が素直に心に響きました。

「しっかりしなきゃ、泣いたらアカン!笑っとかないと。」という勝手に作っていた自分という枠の殻をバリバリッと破いて頂いたような瞬間でした。
今まで、父という大きな存在、後悔や、苦しくても素直になれないような、グーッと心の奥へと押し込めてきた気持ちが一気に押し出されました。そして、優しかった父の姿、厳しかった父の姿、楽しかった家族団欒の一時がふと鮮明に蘇り、こらえきれなくなりました。


ここでは、素直になれるんじゃないかな。
この心理学では、何か変われるんじゃないかな。
ここで、色々学び、目の前の出来事から逃げずに向き合える様になりたい。
学ぶ事によって、仕事でもプライベートでも、きっと変化がでてくるはず!

そう、思い毎週通いました。

行動療法のお話をお聞きし、当時の私は、笑えないと思っていました。が、そうではなく、笑おうとしていなかったから、笑えなかったのだと気づきました。


行動を変える事で、心を変える。人は、行動と心が一致しているから、行動が変わると、考え方も変わって来る。つまり、行動の変化が心の変化を生むと教えて頂きました。
それから、何かに迷いを感じた時は、「まず行動してみよう!」と考え方が切り替わりました。

そして、後編講座のゲシュタルト療法では、人は欠けている所にばかり焦点が当たってしまうため、ストレスが堪ってしまう。また、その事について囚われてしまうと教えて頂きました。きっと、私は、自分自身で父という存在、父の出来事に焦点を当てており囚われていたのだと気づかされました。また、森田療法では「あるがまま」を受け止める事が大切だと学ばせて頂きました。
さらに、後編講座の論理療法を学んでからは、出来事や過去は変える事ができないのだから、自分の考え方や受け止め方をプラスにしていこうと思うようになりました。

そして、私は「きっと父の死も何か意味があって、また、それにより一番おろそかにしていた家族を大切にするように、そして周りに居てくれる様々な方の存在の有難さを教えてくれたのかな。」と思えるようになりました。

おろそかにしていた部分を修復するのは、まだまだ時間がかかりそうですが、少しずつでもコミュニケーションのとれる家族にしていきたい。
素直な気持ちを伝える事ができるような自分になりたい。
と強く思うようになりました。

前編講座で教えて頂いたIメッセージ・・・そう素直な気持ちを外に出す、伝えていく努力をする、自己の開示をする事などが、これからの私の課題です。

I love you because you are you

講座を通し、この言葉は私にとって、「素直になっても大丈夫。何も怖くない。」という意味へと変わりました。
人と接する時は自分に、悩んでいる相手がいる場合は自分だけでなく相手にも届くように、いつも胸に秘め大切にしていきたいです。

そして、笑顔も一緒に。。。

 

~受講生のレポートより抜粋~
  紹介スタッフ:野本

念願のアメリカ留学中に起きた、突然のお父様との別れ。
その時の平尾さんの驚きと深い悲しみの心境が、このレポートを読ませていただいて伝わってきました。
いつも明るい笑顔で受講していた平尾さんの笑顔の裏側には、お父様のこと、ご家族のこと、
そして自分のこれからのこと、様々な想いがありながらの笑顔だったんですね。

本当にいつも思います。多くの受講生さんの素敵な笑顔の裏には、
こんなにもいろいろな悲しみがあってそしてそれを受け入れているからこその笑顔なんだ!と。

平尾さんがお父様の色々な姿がふと鮮明に蘇ったという話を通して、
自分が小、中学生のころの父とのことを思い出しました。

僕の父は仕事の関係で自分が小さい頃から、
毎年1年の半分は海外出張で家を空けることが多かったんです。
毎週日曜日に掛ってくる父からの電話を母と二人で受話器をじっと見つめて待っている、
そんな子供でした。

なかなか一緒に過ごせない父、甘えたいけど甘えられないそんなジレンマが子供心にあったと思います。
帰国しているときにここぞとばかりに分からない勉強を教えてもらおうと
「これってどうすればいいの?」と聞くと、
「Too late だ弘毅!(そんなこと今聞くのは遅すぎる)」と喝破されて教えてくれない。
子供心に厳しい!全然僕のことを認めてくれない!とふてくされていました。

しかし、しばらくしてまた父が海外出張に出る時、僕は学校があるので見送りができずに先に家を出て、
学校が終わって帰ってくると父の居ない家にさみしさを感じていたときの事です。

自分の勉強机に向かうと、そこに父からのメッセージがありました。
「弘毅、お父さんが居ない間はお前がお母さんを守るんだぞ!よろしく!」と書いてありました。
普段厳しい父が、自分の事をこんなにも認めてくれているんだと思い涙が止まりませんでした。
父との思い出。過ぎてしまえば「足らなかった」ことの方が印象に残り、
「してもらった」ことのありがたさを忘れていた気がします。

僕は講座の中で、人は身体が大人になったとしても、
それを自分ひとりでここまで大きくなれたと思う人は、それは子供の心理だと学びました。

赤ちゃんはジャングルで三日放置されただけで死んでしまうと言われています。
誰一人自分ひとりの力だけでは大きくなれないのが事実。

人間は誰かに愛情を与えて貰わなければ大きくなれない。

今、どんなに満たされていなくて悩んでいたとしても、それは自分に愛情をそそいでくれた人がいるから、
人生に悩めるほど大きくなれたのだと思います。

そして衛藤先生から、インディアンは“全ての事には必ず意味がある”と言うということも教わりました。

衛藤先生は「もし今、皆さんが抱えている悲しみがあっても、それはいつかその答えが出たときに、
あれがあったから今が活きているんだ!ときっと思えます。」
「今すぐに答えが出ないものは必要ないですか!?目に見えて変化を感じられないものには
意味を感じられませんか!?」とおっしゃっています。

目先のことや自分さえ良ければと思えば思うほど、
「自分の人生に意味目的が何もない!」と落ち込み悩まれるかたが増えてきていると感じます。

平尾さんのように笑えないのではなく笑おうとしてないんだ!
欠けている所ばかりを気にするからそこに囚われるんだ!
出来事が自分を不幸にするのではなく、自分の受け止め方次第で幸せにも不幸せにもしているんだ!
過去の出来事ではなく、そのことを通して自分はこれからどうして行きたいか!
それを自分で選べるんだ、ということを僕自身も講座で学びました。

そして平尾さんの
“I love you because you are you”
~~講座を通し、この言葉は私にとって、「素直になっても大丈夫。何も怖くない。」
という意味へと変わりました。~~

の言葉が心に響きました。誰かに認めてもらうよりも、
自分で自分を認めていくこと自分を信じることが大事なんだと改めて感じました。

そう、幸せは自分で見つけ、選ぶものなんですよね!

本当に素敵なレポートをありがとうございます。
また平尾さんの笑顔にお逢いできるのを楽しみにしています。