脳飯

      2019/04/21

 暑い日が続いています。
 汗、情熱、発散、燃える太陽、入道雲、花火、水しぶきと、動きがある季節です。もうすでに夏バテで動きたくないと言う人もいるでしょうか。


 先日、リゾートの写真を見ていました。
 ステキだなぁと思うけれど、たまに行くにはイイけど、ずーっといると頭が腐ってしまうのかもしれないと思って本を閉じました。


 僕が大脳生理学に興味を持って勉強していた時は、脳の細胞は胎児の時期に完成し、その後は刺激に対してニューロンが延びて、新しい記憶は増えるけれど、脳細胞は大人になれば減ることはあっても、増殖はしないと言うのが一般常識でした。

 ただ脳科学は年々、進歩し、最近の研究(1998)によると、大人の脳でも脳神経は新しく生まれていることを、アメリカのカリフォルニア州ソーク研究所のピーター・エリクソンとフレッド・ゲージは発表しました。


 ただし、大人の脳で生まれた神経細胞は弱いため、刺激がないと、すぐに死んでしまうのだそうです。ですから、生まれてスグに刺激を与えないと新しい脳細胞は消滅します。でも、適度に刺激を加えると、新しい脳細胞は脳の中のネットワークとして完全に仲間に加わります。


 この脳の刺激とは何か?
 脳トレのゲームソフトを買うことでしょうか。それもムダではありませんが、一番の刺激になるのは、人と人とのLIVEなコミュニケーションなのです。相手がどう出るか予測ができない人間関係ほど脳の刺激と栄養になります。


 やり直しがきく遊びのゲームではなく、もっとも強い刺激は、異性や、異なる世代、違う分野の人々との新たな出会いなのです。

  いつも、出会っている職場の人や、家族との人間関係では、同じパターンの神経回路に電気が走るだけで、やがて脳は刺激に慣れてしまい、脳は怠けてしまい活動しません。脳の栄養は、新しい回路を探索し、新しい回路に電気が走ることなのです。これが脳力を伸ばす方法です。ですから、同じような友人と会うよりも、新しい友人や知人をドンドン増やしていくことが、脳の報酬系が刺激され、脳に快楽が走ります。

  アメリカの心理学者アルバート・メラビアンの研究によると、言語情報は7%、視覚情報(表情)55%、聴覚情報(声の抑揚)38%の割合で、人は情報を得ていると言われています。これが有名な「メラビアンの法則」です。ですから、電子メールやネット空間で学ぶことは、効果は1割以下しかないのです。したがって、たくさんの人に出会うことが脳のトレーニングになります。だから、教室に足を運び、講座を受けることが一番の刺激になるのです。

 最近では「新規探索遺伝子」-「ノベルティ・シーカー」という遺伝子が発見されています。新しい事を学び、発見し、出来るようになると、脳内快楽物質がたくさん放出されます。パターン化されたデートや、美味しいものを食べる時に出る快楽物質の数千倍の多幸感が得られます。

 したがって、新しいことにチャレンジしなくなり、臆病になると、欲求処理の「食」と何ら変わらない「人間関係」に逃げ込んでしまい、味気のない人生になります。

 

 つまり、人は新規探索遺伝子によって、鉄棒で「逆上がり」が出来たことを喜んだり、自転車を乗れたことに感動したり、新しい友だちと心が通いあえた瞬間や、不可能だと思っていたことが出来るようになった時に、人生の中で最高の多幸感を得ます。

 それは、新しいことチャレンジすると、脳内快楽物質であるβエンドルフィン、ドーパミン、オキシトシンがたくさん分泌されることによって、免疫力が上がり、顔のツヤがよくなり、若さを保てます。仕事の現役を離れた人が、老けていくのは、このためです。

 僕にとっては忙しくても、いつも教室で授業をするという現場があることは、いつも脳に新たな回路を増やしていることになるのです。


 なぜ、新しいチャレンジは脳の栄養になるのでしょうか。それは、動物界において、人間は、他の動物に比べて、牙も、走るスピードも、著しくひ弱なのです。大昔から、新しい世界に果敢に挑戦した存在だけが、長い歴史の中で、生き残れた強い個体だったのです。
 だから、進化の中で、新しい事に挑戦し、達成すると、脳内では、快楽物質を放出し、快楽をおぼえ、多くの幸福感を味わえる仕組みが生まれたのです。


  そのため、人は、満足と安定の中にどっぷりつかる日々を得ると、幸せを感じるのは最初のほうだけで、やがて脳には刺激がなくなってしまい、萎縮して、機能低下が始まるのです。学生時代を終えて、社会に出ると勉強しなくなり、輝きがなくなるのも、高齢者が、生活が安定し、優雅な生活に入った段階から、脳の萎縮が始まるのも、この新規探索遺伝子にスイッチが入らなくなるからです。


 さらに安定した安穏とした日々は、不幸なことに、脳に新しい脳内細胞が生み出されても、スグに死滅させてしまいます。また、いつも見慣れた生活と、いつもの行動パターンの日常を続けていると、脳の神経回路も新しい突起となるニューロンを延ばすことを止めてしまいます。


  したがって、お金持ちになって、何も悩みがなくなり、人間関係に気を遣わない生活は、脳の仕組みからすると最悪な状態になるのです。波風が立たない人生とは、脳にとっては何の刺激もない、新鮮な感動もない砂漠のような人生になり、このような脳の飢餓状態が続くと、脳は発達を止め、見た目も老け始めます。恐ろしいとは思いませんか?


 だから、やりにくい上司や、覚えの悪い部下、頑固な父親、口うるさい母親とのバトルなどは「脳の栄養」=「脳飯」なのです。


 思うようにならない人びとこそ、脳の食事なのです。


 今日も「脳飯ちゃん」と楽しめましたか?


 そんな脳飯な人達とは、逃げないで関わり、新しいコミュニケーションのテクニックを学び、果敢にストレスを、ノンストレスになるまでトライして脳のトレーニングをしましょう。


 そして、明日も、困った人達に出会うことも、脳の呆け防止、脳トレだと思って楽しみましょう!


 新しい場所に行くこと、新しい知識を得ることは、もっとも崇高な脳飯になります。

 出かけましょう!


 そこで本題です。
 以前、ブログで紹介した博多校の卒業生の香葉村真由美先生と居酒屋てっぺんの大嶋啓介君の東京エリアの第一回「あこがれ先生」が、中村文昭さん主催で8月8日(土)に開催されます。
 僕も同じ日に、東京ビックサイト「癒しフェア」で、特別講演会があって重なるのですが、僕に気づかいは入りません。あなたの行きたい場所に行きましょう!












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