柔軟な力が世界を救う!

      2021/07/25

 僕たちは幼い時から「自分が正しい」と思ったら、それを信じることを教えられてきました。

 紅白に分かれて競った運動会の時には、自分の所属している色を応援してきました。赤なのに白を応援することは変わった生徒の行動だし、極端にいえば裏切り行為です。

 討論でもAのグループに入ったら、Bグループをいかに論破するか!にエネルギーが注がれます。とりあえずはBのすべてを否定しないと勝てないのです。

 オリンピックが始まりました。開会式は、表舞台の人も、裏方の人も一生懸命に頑張ったのでしょうね。学生時代から今まで、いろんなことを企画したことが多かったので、何かのイベントを観るたびに、その裏で努力した人々の思いを感じてしまいます。

 悲しいのは一番、ニヒリズムに腰掛ける批評家や批判精神から否定の意見を述べたがるのは、いつの時代も何もしない人たちです。この外からの声に努力してきた人達を苦しめます。

 オリンピック反対とプラカードを作る人も、やはり努力をしているし、彼らも、どこかに集合して行動し、思いを一つにしています。彼らにも一生懸命に「オリンピックを中止させたい」という強い思いがあり、その点でオリンピック大会「反対!」のシュプレヒコールをあげる彼らにも強い信念が存在している。

 分断された平和の祭典…すべての悪はコロナウィルスです。人であってはならない。

 国立競技場内でオリンピックの開会式の成功を信じ、汗をかいていたパフォーマー側も、コロナウイルスが広がる中で「オリンピックはキャンセルだ!」のプラカードを持つ側にも、互いにそれぞれの正しさが存在しています。

 開会式の時「オリンピック反対!」と国立競技場の周辺で反対活動する彼らの目に映った、花火やドローンの地球儀も、彼らは「美しい!」などと少しも思ってはいけないし、あんなものはくだらないと忌々しく感じないとならないのだろうか?ドローンをスムーズに飛ばすためにプログラマーの不眠不休でした努力も意味のないものとなる。

 僕は昔から紅組であっても、白組の演技に心打たれることもあるし、白組であっても、紅組の一生懸命さが伝わってくる瞬間もあった。自分がAグループに所属すると、相対するBグループの努力にも、ささやかな感動にもシャッターを閉じ、否定することを暗黙に求められてきた教育。

 1+1=2、正解は一つ。そのように教わってきました。ずーっと、それが正解なのだと…自分の正しさを信じろと…

 大人になって自分の意見など100ではなくて、80くらいにして、20は相手を認めることが大切だと思えるようになった。さらに自分の考えを途中で変えても構わないし、ムキになるほどでもないと…それが学校では教わらなかったけど、自分自身が身につけた自分らしさ。

 「それは弱さですよ!」と言われる人もいるのかもしれません。僕は、どんな敵対する相手であっても、相手の中にある「良いものは良い」と言えるのは強さだとも思っています。

 第二次世界大戦の時に、中国大陸で日本国軍人の士気を高めるために、まだ生きている現地の人を木に縛りつけて標的にし、銃剣の訓練をさせられたと、ある先生だった人の独白を昔に聞いたことがありました。

 彼は縛られた生きた標的を前に、標的にされた中国人から、こんな言葉をつぶやかれた。「助けてくれ!同じ人間じゃないか…俺には年老いた母がいる。僕が面倒をみなければならない。頼むから助けてくれ!」


 その言葉で銃剣で刺すことを躊躇した彼は、上官からその場で「貴様!それでも日本軍人か!」と死ぬほど殴られたという。もちろん上官に逆らうことなどはできない戦争の時代の話である。

 生きた人間だと知っても目をつぶって「わーっ!」と銃剣で突き刺さないとならない自分達の正義と信じる狂気と、今回のオリンピックの意見の違いはレベルも、狂気さも全く違うものです。一緒に語られるべきことでありません。

 でも、対立した時には、自分のチームを信じるよりも、自分の素直に感じた心も信じたいと思うものです。

 僕自身も「こんな時にオリンピックなぁ〜」と思っている一人でした。でも、開会式の橋本聖子会長のスピーチで、少し涙声になる瞬間に「この人も大変だっただろうなぁ〜」と同情する僕もいて…どちらの気持ちもわかる僕もいる。そんな自分の柔軟性もやはり大切にしたいのです。

 僕が大人になって身につけてきたもの、学校では教わらなかったことは、自分を少し曖昧にしていても良いじゃないの…と思えるようになったこと。

 人柱を前に、銃剣を捨てて「止めた!」と言える自由は持っていたいと僕は思ってしまう。

〈ストリートアート バンクシー〉

 やっぱり完全な正しさは何だか怖くって。

 それにムキになっている人の目も怖い。そんなことを感じたオリンピックの開会式でした。賛成でも反対でも、それぞれにガンバった人々にエールを送りたい!

 そして、僕は今までどおり日本を応援しながら、相手国の努力にも心から感動できる自分を残しておこうと思っています。

<<よければYouTubeも見て下さい。>>

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