人間関係は、平面から3Dへ

      2019/04/21

 悩んでいる時は、自分の頭の中の思考が内側(自分自身)に向いています。
 落ち込んでいる時は、自然や景色を自分の中から排除しています。

 だから、どれだけ青空でも、街の街路樹の緑が美しくても、星が夜空に散りばめられていようとも、目には見えても、心には映りません。
 もちろん、悩んでいる時には、その苦しみと向き合っているために、外になんか出る気も起こらないものですけど…
 
 悩んでいる時は、外に出て「人と関わらないといけない」と頭で思っても、すべてが面倒くさく感じてしまいます。だから、フェイスブックやネットの記事を見ることで、誰かと関係を持った錯覚におちいり、数時間もネットの世界で過ごす人が増えています。でも、これは錯覚で、自分だけの内側の世界で一日を終わらせてしまっているのです。
 
  人間関係は双方向です。携帯画面のような一方通行ではありません。
 
 人間関係は、相手がこちらに刺激を与えてきます。その刺激とは、相手が話しかけてくる。それを聞いて、自分の思っていることなどをこちらも伝える。そして、相手の反応を待つ…と連続して続いてゆきます。
 
 でも、携帯の画面は、突然に意見を求めてこないし、こちらも、画面に愛嬌を振りまかないで、ただ無表情で画面を見ていればイイので、自分中心な内側の人間関係になります。
 
 ペットを飼っている人は、自殺する人が少ないと精神医学の国際シンポジウムで発表がありました。それは、世話をしてあげないと、ペットが死んでしまうからです。世話をすることが自分の生きる存在理由になるからです。
 
 ぬいぐるみと違って、生き物は、エサをあげ、散歩をし、オシッコの世話をしてあげなければならないし、ペットはいつも人にちょっかいを出して来ます。ですから、自分中心の世界から強制的に、外の生活に追い立ててくれるのです。
 
 子どもが巣立った後に、ウツになり自殺する人が多いのも、一日の時間のほとんどを自分だけに向かわせるからです。
 
 いつも、元気な高齢者の知人がいます。
 
 その人は、アリの行列をさけて通り、アスファルトのところで、セミが寿命のために木から落ちていると、必ず土のある所に運んでやり埋めてあげる。だから「夏は忙しい」と涼しげに笑っています。
 ある時は日陰でネコが休んでいると、日の動きと共に影が移動するからと、傘でネコの影を作っておられました。公園で同じ世代の老人の顔色が悪く座り込んでいれば、自販機でお茶を買って介抱し、エレベーターが閉まる時は、まずはエレベーターの外に出て「乗られるかたはいませんか?閉まりますよ」といつも叫んでおられます。過去に町でケンカを見かけて止めに入って、逆に殴られたこともあったらしいのです(奥さん:談)。でも、いまだにトラブルがあれば、中に割って入っていかれるのです。
 
 奥さんからは、いつも「あなたは、だいたいお節介なのよ」と説教されています。
 
 共感する思いは僕にもありますが、毎回できることではありません。
 
 この方は、外で起こる出来事は、壁紙のような景色ではなく、イキイキと色を持ち、3Dのように立体的に存在している生きた世界なのです。
 
 「人生が楽しくない」と相談に来られる人は、目が虚ろで、人も、景色も、ただスマホの画面のように、平面の壁紙のように、2Dの世界でしか見えていない気がします。だから、それらの人々は表情が少なく、スマホを見ているように、周囲に対して笑顔も少なく、目には輝きがありません。若いスマホ世代になるほど、その傾向は強くなります。

 自分がキラキラと幸せを感じたいのなら、頭で考えないで、誰かに自分の「今、やれること」を始めてみることです。なぜなら、人は誰かの役に立っている間は、自分自身の悩みは消え去ります。誰かのお役にたてることが、自分自身の存在価値を高めるからです。「ありがとう」「助かりました」「感謝します」と、誰かに言われると、たとえ見返りがなくても、その一日は幸せな気分で過ごせるはずです。

 それは、さきの優しい老人のように虫助けでもいいのです。それが、世界との深いつながりになるのです。
 
 その老人は、熱中症で道で倒れている人を見かけると走って行って、救急車を呼び、病院に付き添い、その倒れた家族が来るまで一生懸命に世話をしておられます。ある時には、倒れた親のお礼に来られた、若く美しいお嬢様から「あなたのような親切な人が、まだこの世界にはいるのですね。あなたみたいな男性の方と結婚したい」と言われたことがあったと、数々のエピソードの中から、奥さんが笑って話してくれました。
 
 「ステキな出逢いがないんですよ」と携帯の画面ばかりを見ている人は、携帯の中に世界の広がりも、出逢いもありません。そんな生き方は、世界を2Dに閉じ込めてしまっています。

 だから、あなたが「今、やれる事」を3Dの世界に探しに行こうよ!

 

 

 

 

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