Home 受講生の感想レポート 「幸せ」の入り口。~神様を感動させる生き方~
「幸せ」の入り口。~神様を感動させる生き方~

東京校  吉長 綾太さん(29歳 男性)


 日本メンタルヘルス協会での学びは、僕にとって「自分を探しだす道しるべ」のようなものでした。最初は、ただ単純にカウンセラーになりたいというシンプルな動機で受講しましたが、受講して人の心の奥深さに触れていくうちに、今までの自分の生き方の「矛盾」を少しずつ理解できるようになりました。そして、意識と無意識の矛盾を「統合」していく事は、本当の自分を見つける為に大切なことなのではないかと思うようになりました。
 僕は自分の思っていること、心に感じたものを表現することにとても苦手意識をもって生きてきました。人に対してどこか一線をおいてしまい、気を遣う関係からなかなか抜け出せず、深い心のつながりが得られてないような気がしていました。人間の性格は幼い頃に関わってきた家族や友達の影響を受けているそうなので、その当時を振り返ってみながらもう一度自分を見つめてみようと思います。

僕は人とのコミュケーションで不意に恐怖心が襲ってくることがあります。責められるんじゃないか、怒られるんじゃないか、傷つけてしまったのではないだろうか・・・・と。それは幼い頃、人とのコミュニケーションの中に「権力」というものが強く働いていて、それが僕のコミュニケーションを難しくしてきた一つの要因だったのかなと感じています。

 僕の父親はいわゆる厳格な父親で、口論になった時も問答無用に抑えられていたように思います。僕にとっての親父は本当に怖い存在で、緊張していたのを覚えています。その為、自然と避けるようになってしまい、怒られたこと以外はあまり覚えていません。また5歳離れている兄にも、よく力で抑えられてきました。

 父親と兄には甘えられず、小さい頃は母親に甘えていたのですが、母も躾には厳しかったので、よく怒鳴られていた気がします。やんちゃだった僕が言う事を聞かなかった事が原因ですが・・・。ひどい家族環境とは思いませんが、家族旅行に出かける事もあまりなかったので、遊ぶのは友達がほとんどでした。ただ、その時遊んでいた仲間は、年齢がバラバラだったのもあり、やはりその仲間の中でも「権力」を感じていました。先輩の言うことに逆らえば痛い目にあうのでビクビクしていましたし、そのストレスは今度は後輩に向かい、結局僕も力で抑えつけていました。そんな環境の中で、「上下関係」や「権力」といったものが僕の無意識に深く刻み込まれていきました。そして、人とのコミュニケーションの中で、怒られることや責められることに対しての恐怖心がすごくつきまとい、それが人間関係を困難にさせていたと思います。

 中学生時代からそんな自分が顔を出すようになり、ストレスを感じ始めました。思春期ということもあるとは思うのですが、他人の目や評価などを異常に気にしていたのを覚えています。そんな時、自分を支えてくれたのが「夢」でした。小学4年生から抱いた機械体操選手になる夢です。運動能力の高さを周りの人達は高く評価してくれました。スポーツをしている時には自分の存在価値を感じることができました。しかし、最初は楽しかったはずの夢がだんだんと「やりたい」から「やらなければならない」という感覚に変わっていきました。運動を取り上げられたら自分の存在がなくなってしまうような・・・そしてだんだんと孤独感を感じるようになりました。

 思春期という複雑な時期も関係したのかもしれませんが、日本メンタルヘルス協会の講座で学んだ「ベーシックトラスト(基本的信頼)」を僕はあまり感じることができなかったのかもしれないと思いました。家にいても孤独感を感じ、守ってくれる誰かを求めていました。それが夢に対する執着だったのかもしれません。

 高校も体操部がある高校を選びました。頭の中ではどこか諦めていたのですが、しがみついていたのだと思います。勉強はせず趣味で始めたギターをきっかけに、またその時の仲間の勢いもかりて高校卒業後は音楽の専門学校に通うことを決めました。ちょうどその頃、母と兄が病気をしていて、経済的に大学に行くのは無理だとわかっていましたし、気乗りしないまま大学に行く必要もないと思いました。そして「自分で学費を稼ぐから好きにさせてくれ」と言った僕に、母は病院の食堂で泣きながら「ごめんね。」と言いました。強いと思っていた母の弱さを初めて見ました。

 専門学校に通うために親元を離れた2年目の春、突然父から母の余命を知らされました。一週間の命だと・・・。もともと乳がんで以前手術をして完治したと思っていたのですが、僕が親元を離れている間に転移していたことがわかったようです。そして、あっという間に逝ってしまいました。
 家族の死というものに直面したのですが、他のみんなのように悲しい気持ちが湧いてこない自分に気づきました。実感がなかったのかもしれませんが、そんな自分を責めました。

 それから数ヶ月してある夢を見ました。天国から母が1日だけ家に帰ってくる夢でした。白い服を着た母と話をしていました。そして別れを告げて、母は再び天国への階段を登り始めます。その時僕は泣きながら必死で何か叫んでいて、それと同時に泣きながら目を覚ましました。講座で夢は無意識からのメッセージなんだと知って、その後少しだけ自分を許せたような気がしました。

 母の死のあとも次々と試練が襲ってきました。共に同じ夢に向かって歩んでいたはずの仲間との対立と決別、バイトの同僚の自殺、人生最大の大失恋。完全に未来に希望を持てなくなった瞬間でした。「普通」で我慢しよう、そんな思いで就職を決意しました。

 初めて就職した会社は小さい会社で、僕を含めて従業員は4人、僕より倍以上の年齢の方ばかりでした。人付き合いが得意な方ではなかった僕は、人間関係を築くことができず、まるで奴隷のような扱いをうけました。実際「お前は奴隷だ。死んでしまえ。」と毎日のように言われ続けました。それでも、いつかきっと認めてもらえるだろうと希望を抱きながら耐え続けました。しかし、そんな希望とは裏腹に僕の心はどんどん衰弱しました。その時ようやく僕は心の底から「人とつながって生きてみたい」と思いました。ただ純粋にそう思えました。

 それから試練が終わるかのように転機が訪れました。ある人の縁をきっかけに新しい仕事(フィットネスクラブ)に就いてからは、素晴らしい仲間とたくさん出会い、恐怖心さえあった人との関わりを嬉しく感じるようになりました。
 そして講座を通して、なんでも「バランス」が大事なのではないかと考えるようになりました。例えば「今は便利で物も豊かな時代、世の中は良くなっているように思いますが、その半面以前では考えられなかったような問題が増えてきている。ただ、単に昔が良かったという事ではなく、いいことがたくさんある裏側で、都合の悪いことが起きた時どう向き合っていくかを考えていけばいい。」と思うのです。

 僕は今まで絶対的な何かに囚われていたのだと思います。まさに、後編講座の「落ち込みグセから脱出するテクニック」で学んだ「ネバナラナイ思考、ベキデアル思考」に。その中で自分に合わないことは徹底的に排除してきたように思います。でも、完璧でない世の中でそんな生き方をしていたら苦しいはずです。自分の価値観と同じ人も、違う人もいて、そんな中で上手にバランスを取りながら世の中にはたくさんの人間ドラマが生まれている。自分の人生に起こる悩みも、神様からの宿題として向き合いながら成長して、ドラマティックに楽しみたいと思います。神様を感動させるくらい!

 日本メンタルヘルス協会に出会い、心のリハビリをしているようでした。痛みを伴いながらも少しずつ成長を感じています。自分にとっての「幸せ」の入り口に立てた感じです。まだまだ行ったり来たりなところもありますが、受講を続けながら自分の人生を楽しもうと思っています。

 

~受講生のレポートより抜粋~
  紹介スタッフ:吉原

 吉長さんはこのレポートの後、研究コースで学びを深め、現在は日本メンタルヘルス協会の「公認心理カウンセラー」として活躍されています。
 吉長さんは東京校で受講されていたので、メールやお電話でのやりとりのみで、なかなかお会いする事はできなかったのですが、今年5月の大阪での研究コース卒業式の翌日、大阪校にお越しになり、直接お会いする機会がありました。その時の吉長さんからは、以前人とのコミュニケーションに恐怖心を持っていたり、心に感じた事を表現するのが苦手だったとは、想像もできませんでした!

 研究コースのレポート管理等をしていた私に、目を見て笑顔で心のこもったお礼の言葉をくださり、とっても嬉しかったのを覚えています。
 言葉は少なかったとしても、その言葉に心があるかどうかは、やっぱり心が感じています。

 吉長さんのように、メンタルでの受講を続けながら、過去をひとつひとつ振り返り受け入れて、それらを「乗り越えてきた過去」としてこうやって話せるということは、確実に成長した証拠なのではないかと思います。
 いくつもの苦難や苦悩を乗り越えて、感謝しながら生きている人には、恥ずかしい過去など無いのかもしれません。

 誰にも自分を語れない人に、誰も自分を語ってはくれません。
 なぜなら、本当はみんな怖いんです・・・・。
 だけど、弱いところも恥ずかしい過去も笑って話せる人は、いろんな痛みを経験し、その分優しさや思いやりを兼ね備えている・・・吉長さんの笑顔はそんな笑顔でした。

 「あの時の過去があるからこそ、今の自分がある。」

 吉長さんのレポートを拝見して、改めて自分の過去も愛おしく思えました。
 素敵なレポートありがとうございました!