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人に好かれる秘密

大阪校  吉川 翼さん(31歳 男性)


私には、引きこもりだった過去があります。
 短大を卒業して、就職も出来ず人間不信にもなり、「自分には生きている価値なんて無い。」と本気で自殺まで考えた3年間。

 それから、なんとか社会にも出られて、たくさんの仲間もでき、私の人生は180度変わりました。
 しかし、その引きこもりの時期は、目を背けたい暗い部分として私の心の中に残っていました。友達や仲間、結婚を考えた彼女にさえ言えずにいました。言ってしまったら今の関係が壊れてしまうんじゃないか、変な目で見られるんじゃないか、そう思っていました。

 基礎コース前編の最後にライフライン(自分の人生を一本の線で表す)を書くワークがありました。目を背けていた私には、とても辛い時間でした。しかも自分が書いたライフラインを同じテーブルの中で発表すると言うのです。私が書いたライフラインには、明らかにその3年間がドン底に書かれていました。友達にも結婚を考えた彼女にも言えなかった引きこもりだった事実・・・手が震えました。

緊張の中で発表をしている私のライフラインを、同じテーブルのみなさんは静かに聴いてくれていました。
 その中に一人目を潤ませ真剣に聴いている女性がいました。その方は母親で息子さんが引きこもっていて、その息子さんの力になりたくてメンタルの講座を受講していると言っていました。

 その方に引きこもりだった頃の事、どうやって社会に出られたのか等、いろいろ聞かれました。
 それに答えている間、引きこもりだった暗い部分に光が当たった気がしました。そんな暗い過去でも人に話すことでお役に立つことが出来るんじゃないか?少しだとしてもこの方の希望になっているんじゃないか?そう思いました。

 お話をしている間、その方の真剣な表情を母親とダブらせていました。私の母もこんなに悩み、心配をかけ、苦しめたのかと思うと、申し訳ない気持ちと母に対して感謝の気持ちで心がいっぱいになりました。
 母に感謝の気持ちを伝えよう、そして親孝行しよう。
 
 そして、もう一つ考えていたことがありました。本当は大好きな親友に一番に話したかったということでした。その親友はこの日本メンタルヘルス協会を紹介してくれた人でもあります。彼なら私のどんな過去も受け止めてくれそうな気がしていたのです。

 それから、何気ない会話の中で自分が引きこもりだった過去を話すことができました。そして別れてすぐ携帯が鳴りメールが届きました。彼からのメールでした。

 「今日、話を聴いて翼さんが人に好かれる秘密を知った気がしましたよ。」
 嬉しくて何度も何度も読み返しました。今でも保存しています。

 それからは、自分の過去に対する見方が変わりました。引きこもりだった経験があるから今の自分がある、友達の大切さも感じられるし、あの頃と比べると自分が成長した事も実感できる。
 そう思ったら過去の引きこもりも大切な大切な自分の一部だと思えるようになりました。
 そして、婚約者の彼女にも話すことが出来ました。
 彼女は「それでもいいよ。そういう過去も経験もひっくるめて翼くんやから。」そう言ってくれました。

 その後も何度か自分の引きこもりの経験を話すことがありましたが、誰一人マイナスな反応をする人はいませんでした。みんな「その経験が今のあなたに活かされてるんやね。」そんな反応でした。
 みんなから「I love you ,because you are you」そう言われたような気持ちでした。

 人に認められたこと、そして自分で自分の過去を認められたことで、前より一層自分を好きになれました。
 以前はもっと他人の言動にイライラしていたように思います。人の欠けている部分、自分より劣っている部分に焦点が当たっていたんだと思います。自分に自信がない分、人の欠けている部分に焦点を当てて安心したかったのかもしれません。

 母との関係も変わりました。
 私の心の中に、ずっと母に対する恨みが強くありました。子供の頃にかまってもらえなかった事、無視された事、叱られた事、ただそれを表面に出さずにいただけでした。そして、結婚のため家を出る準備をしている時、母と大喧嘩をすることが起こりました。それがきっかけで自分の思いを全部母に話しました。私が母に対して恨みに思っていること、引きこもりになったきっかけが母にある事・・・。二人とも泣きながら話しました。

 話をすることで、母の思いを初めて知りました。父親がまともに働かず生活が苦しかった事、僕たち三人兄弟に心配をかけないよう、知られないよう、母は寝る間も惜しんで働いていたこと。疲労が溜まりすぎて病気にもなったこと。朝ご飯を作って僕たちを小学校や幼稚園に送り出し、それから働きに出て、夕方帰ってきてご飯を作り、それを僕たちに食べさせてから、また深夜まで働きに出ていたことを知りました。

 特に一番末っ子の私はそのことに気付かず、母に話しかけてもいつも上の空で、返事さえも返ってこない母に淋しい思いを抱いていました。
 母は一番末っ子の私には特に心配かけないようにしていたようです。兄には、まだ小さな弟だった私がいたので働きに行けず、本当にお金の苦労をかけたと言っていました。学校の教材も買えず、クラスで一人だけみじめな思いをさせたり、満足な食事も食べさせられなかったと言っていました。
 だから、せめて一番末っ子の私にはみじめな思いやお金の心配をさせないよう、母は必死で働いたそうです。

 そんな事も知らずに、話しかけても上の空で返事もあまり返ってこない母に淋しさ抱き、そして恨んでいたのです。兄弟の誰より愛されて大事にされていたのに、そんなことも知らずに母を恨んでいました。

 母は泣きながら言っていました。家が裕福でお金の心配もなく、私が専業主婦だったら子供たちに愛情をいっぱい注げたかもしれない。でも、私は自分なりに精一杯愛情を注いできたつもりだったと・・・。そんな愛情にも気付かずに恨んでいた自分を恥ずかしく思いました。

 最近、母に合うと子供の話ばっかりします。「早く子供作ってな。子供はお金なんか無くても育つ、子供は食いぶち持って生まれて来るんだよ。」と言っています。
 今は本当に強くて愛情いっぱいの母だなぁと思います。

 私は、一時、成功哲学や夢実現セミナーにのめり込んだことがありました。もっとお金持ちになりたい、成功したい、そんな思いでいろんなセミナーに参加していました。そして、それについて行けない自分にイライラしていました。

 ある時、たまたま年配の女性で会社経営者の方と食事する事がありました。その時に色んなアドバイスをいただきました。アドバイスというよりは私へのダメだしに近かったと思いますが・・・。手帳の書き方が悪い、夢のイメージの仕方が悪いから夢が実現しない等、少し落ち込んで帰りました。

 でも母を見ていると、成功とは程遠く「人生でお金があった事なんか一回も無いわ」って笑っている。手帳なんか一度も持った事なく、自分のことより子供のことばっかり心配している母を見てホッとした気持ちになりました。

 「もう俺の心配はしないでいいよ」って言っても、「心配するのが親の仕事や」って言ってきかない愛情たっぷりの母親を見ていると、お金がなくても成功しなくても、心配が絶えなくても、幸せやなぁって思えます。

 これもメンタルの講座で学んだおかげだと感謝しています。

 メンタルでいろんな考え方を学ぶと、人生のあらゆる事に学びがあるのだと気付きます。母の生き方、友達の何気ない一言、恋人の優しさ、そんな小さなところに人の優しさ・寂しさ・強さを感じることが出来るようになりました。

 誰かの一言で傷ついても、その人もきっと怖いのかもしれない、自信がないのかもしれないと考えると優しく接することが出来ます。

 メンタルの講座で学んだ様に、人生に起こる事はすべてが学びだと考えたら、これからも起こるであろう苦しい事や、辛い事も乗り越え、それを糧に強く成長してやろうと思います。
 そしたら、けっこう無敵ですね(笑)。

 

~受講生のレポートより抜粋~
  紹介スタッフ:吉原

3月20日(日)、まだ肌寒さが残る春の日が大阪校基礎コース修了パーティーでした。
 この式典に参加された吉川さんの印象は、誠実で穏やかな笑顔をされる方。
 引きこもりだった3年間やお母様を恨んでいた時期があったとは、あの笑顔からは想像できません。
 ただ、レポートを拝見して、この時期があったから、吉川さんにはあの穏やかな笑顔があるのだと思いました。

 誰にでも、目を背けたい過去はあるのかもしれません。
 ただ、そこからずっと目を背け続けるか、それとも吉川さんのように自分の中で対峙していくかで、その後の生き方が変わるのであれば、どこかで覚悟を決めて対峙する事を私も選びたいと思います。

 あるカウンセラーの方から、幼い頃から「死」について考えていた女性の話を聞きました。その女性の母親の「幸せすぎていつ死んでもいい」という何気ない言葉が、彼女を不安にさせ、なぜ人は死ぬのか、死とは何か、ずっと考え続けてきたそうです。

 その問いにはじめて答えてくれたのが、大学時代山岳部で出会った先輩ではじめて彼女が好きになった人でした。でも、その彼を雪山で亡くしたのです。

 その後、彼女は就職し黙々と働きながらも心は現実から離れているように感じ、楽しい事をしていても心がさまよったままだったそうです。

 彼女はずっとこの事を誰にも話せませんでした。
 でも、今までを整理し、大切な人の死を受け入れるために、彼女はそのカウンセラーに話し始めました。そして、心はずっと過去に在り、未来を想い、今を生きていなかったことに気付いたのです。

 しばらくして、彼女からカウンセラーにメッセージが届きました。
 「私の心は大丈夫です。おかげさまで、今は自分を少し信じられるようになりました。」

 のカウンセラーは嗚咽するように泣いたそうです。
 自分と対峙し、命に真摯に向き合う彼女の姿勢と心の軌跡に「希望」を感じたと・・・・。

 どんな人の過去も、その過去が辛く目を背けたいことだったとしても、それを乗り越えた事実は誰かの心を動かすのだと思います。

 吉川さんもこの彼女も、確かに誰かの心に「希望」と「勇気」を与えたのではないでしょうか。
 そして私も教えてもらいました。
 この先、心が折れてしまう事があったとしても、その事にちゃんと目を向け乗り越えた時に、誰かの希望になれるのだと・・・。

 吉川さん、希望と勇気に溢れるレポートありがとうございました!